ようやく梅雨が明けたとおもったら連日の猛暑ですね。
熱中症で1週間で約1万8000人の緊急搬送が行われたと総務省より発表ががありました。残念なことにそのうち57人は死亡しているとのことです。
そんな猛烈な暑さなか学生は野外や空調施設のない屋内での部活やスポーツをがんばっています。ちょうど夏の甲子園大会もはじまっているのでスポーツによる熱中症を防ぐための正しい水分補給をしましょう。
熱中症の起きるメカニズム
人の身体は体内で熱を産生しており、この熱を体外に逃がすことで常に体温を36~37°ほどに保つようにできています。
しかし、運動をすると筋肉でたくさんの熱が作られ、体温が上がります。また気温の上昇によっても体温が上がります。上がった体温を下げようと次のようなことが身体のなかで行われます。
- 体温が上がると皮膚の下の血管に流れる血液の量を増やして、体外に熱を逃がそうとします。一気に全身に血液が回るため血圧がさがり脳に酸素が届かなくなり、めまい、立ち眩みなどを起こしたり、意識を失うこともあります。【 熱失神 】
- 体温があがると汗をかきます。汗は皮膚の上で蒸発するときに皮膚の熱を奪い体温を下げます(気化熱)。汗をかいて脱水状態なると全身倦怠、嘔吐、頭痛などの症状が出ます。【 熱疲労 】
- 汗は血液からつくられており、汗の中には水分だけでなく電解質も含まれていて汗とともに失われます。電解質に最も多く含まれるのがナトリウムイオン、つまり塩分です。汗をかいたときに水だけを飲んで塩分を補給しないと塩分不足になります。(また、水分だけ補給すると一時的に血液が薄まりのどの渇きが治まりますが、腎臓が水分が過剰だと勘違いして尿としてだしてしまいます)塩分には筋肉の収縮を調節する役割があるため、塩分が足りなくなると手足がつるなどけいれんをおこします。【 熱けいれん 】
- さらに熱が上昇すると、脳に影響がおよび意識障害を起こします。【 熱射病 】
このような症状の総称を「熱中症」と呼びます。
つまり熱中症の対応は
①エアコンなどで外気温を下げる
②汗を蒸発させ体温を下げる
③汗で失った水分、塩分、糖分を補給すればよいのです。
スポーツでどれくらい汗をかくのか?
スポーツの種類にもよりますが2時間ほどの運動で約2~3ℓの汗をかきます。それとは別に生活しているだけで人間の身体は2~2.5ℓの水分を尿や便で排出してますので、運動と含めると4~6ℓもの水分を補給しなければなりません。
平均的な食事から約1ℓの水分を補給しているので、それ以外の3~5ℓも飲料水で補給しなければなりませが、どのような方法が良いのでしょうか。
運動時の水分補給
水分を補給するときは一度に多くの水を飲んでも効果はありません。一回で胃が吸収できる水分は約200㎖なのでコップ一杯分をこまめにとることが有効です。目安としては15分~20分おきに補給するのが理想です。
運動をしているときは大量に汗をかくため糖分と塩分も同時に補給できるスポーツドリンクがおすすめですが、そのまま飲むと糖分が多すぎるので1.5倍~2倍に薄めると効果的に吸収できます。
正しい水分補給を
のどが渇いたと感じたときにはもう遅い!と聞いたことがありますか?人間は体内の水分の2%を失うとのどの渇きを感じ、5%ほどで頭痛、めまいをおこし10%になるとけいれん、意識を失うなど危険な状態になります。
ただし、のどが渇いたからといって水をがぶ飲みしないように気を付けてください。前述したとおり塩分不足よる「低ナトリウム血症」によりけいれんや意識障害を起こしてしまいます。
気温が35°をこえると「猛暑日」になりますが、20年前までは「猛暑日」という言葉はありませんでした。つまり35°を超えることはほとんどなかったということです。
今の子供たちは年ごとに気温があがっているなか、部活やスポーツに打ち込んでいます。今までがこうだったからとか自分たちの時代はこうだったというような経験則ではなく、今の現状にあった正しい対処で子供たちをさらには自分たちを守りたいですね。